保険証のこと

後期高齢者医療制度が導入されて、
健康保険に加入していた75歳以上の人や、
一定以上の障害を持った65歳以上の人は、
健康保険から脱退することになりました。


それに伴い、それまで持っていた保険証の代わりに、
新たに後期高齢者医療被保険者証が発行されました。
以前は、健康保険証と医療受給者証という証明書が必要でしたが、
高齢者を明確に区分することでその証明書は必要がなくなり、
新たな保険証1枚だけで済むようになりました。


ただ、後期高齢者医療制度が十分に周知されていなかったのか、
新たな保険証に切り替わることを知らずに、
届いた保険証を捨ててしまった人もかなりいたようです。
保険証の再発行はできるようなので、
失くした人は市役所などの窓口へ相談してください。

保険料と医療費

後期高齢者医療制度が実施されて以降、
さまざまな問題が生じているようです。


一時は制度を廃止するなどといった話もあったようですが、
結局のところ、当面は維持されることになったそうです。


この制度に該当する人というのは、75歳以上の高齢者と、
65歳以上ので障害認定を受けた人ということで、
全国でおよそ1300万人に上るといわれています。
日本の総人口の約10%に当たるのですね。


この1300万人のうち、1100万人の人は、
それまでは被扶養者ということなので、保険料が必要ありません。
ですから、新たに保険料が発生したのは残りの200万人です。


一人当たり毎月6000円として、
200万人だと毎月120億円の保険料が増えたことになります。
けれども、日本の医療費は年間30兆円を超えており、
そのおよそ3分の1を国が出しているということなので、
大してプラスにはなっていないような気がします。

受けられない免除

老人保健法による医療制度において、
医療費の自己負担額は、通常1割、現役並みの所得者は3割という
基準が設けられていました。
これは、後期高齢者医療制度でも変わりはありません。
では、なぜ高齢者の負担が増しているといわれるのかというと、
その要因は保険料にあります。


従来の制度では、健康保険に加入している人に扶養されている
高齢者の方については、保険料は免除となっていました。
しかし、今回の後期高齢者医療制度では、
75歳以上もしくは、65歳以上で一定の障害を持っている方は、
健康保険から強制的に脱退させられ、
後期高齢者保険に加入する事になります。


したがって、これまでのような免除は受けられなくなりました。
さらに、年間18万円以上の年金需給を受けている方に関しては、
この年金から保険料が天引きされます。
そのため、高齢者の負担が増しているといわれているのです。

対象となる日

従来の老人保健法による医療制度では、
高齢者医療の対象者は75歳以上の高齢者、
もしくは65歳以上で一定の障害を持っている方
という定義がなされていました。
これに関しては、後期高齢者医療制度でも同様です。


ただし、対象となる日が変わります。
これまでは、75歳の誕生日の翌月の1日が対象となる日でした。
つまり、5月10日が誕生日の人は6月1日、
8月2日が誕生日の人は9月1日、
11月1日が誕生日の人は12月1日からが、
医療費軽減や保険料免除の対象となっていた訳です。


しかし、後期高齢者医療制度では、
75歳の誕生日の当日からが対象となります。
この点は覚えておいた方がいいと思います。


また、病院の窓口で見せる物も変更されました。
これまでは、健康保険証と医療受給者証という二つの証明書を
見せていましたが、今は後期高齢者の保険証のみということに
なりました。

何が変わったのか

高齢者の医療費に関しては、
これまで老人保健法による医療制度によって制定されていました。
それが、2008年4月1日から後期高齢者医療制度によって
定められるようになりました。
では、具体的にはどこがどう変わったのでしょうか。


まず、老人保健法による医療制度は、
市町村が運営の主体を担ってきました。
それに対し、後期高齢者医療制度においては、
県内の市町村が加入する広域連合が運営することになりました。
独立した形となった訳です。


これまでは国民健康保険健康保険組合などに加入している事で
医療費負担の軽減や保険料の免除が行われてきましたが、
後期高齢者医療制度の定める加入条件は、
国民健康保険健康保険組合などの健康保険から脱退し、
県の後期高齢者保険に加入する必要が生まれました。


ただ、この手続きに関しては特に必要なく、
自動的に脱退から加入という流れになっています。
つまり、75歳になったから、あるいはすでに75歳以上だから
ということで健康保険を自分で脱退し、
改めて県の後期高齢者保険に加入する、
というような事はしなくてもいいのです。


この後期高齢者医療制度への移行の最大の変更点は、
この独立にあります。
こうする事で、保険料を支払わなくてよかった従来の制度から、
保険料を支払う必要のある制度へと移行したのです。

後期高齢者医療制度は続くのか

後期高齢者医療制度が導入されて以降、
年金の自動引き落としに関する問い合わせが殺到したそうです。
なぜこのような事態になったのかというと、
後期高齢者医療制度に関する説明が行き届かず、
制度自体知らないという人が多かったからだそうです。



後期高齢者医療制度は、
医療制度改革の柱として国が新たに定めた制度です。
その目的は、高齢者の医療費を捻出するためです。
現在、日本では65歳以上の人口に占める割合は、
20%を超えています。
75歳以上でも10%に達しています。
つまり、10人に1人は75歳以上の高齢者というわけです。



こうした状況を受け、若年層や中年層などの現役年代と、
高年層の負担能力をある程度フラットにしなければ、
将来的な高齢者の医療費が確保できないという結論に達しました。
そこで、これまでは国民健康保険の加入者が扶養していた
75歳以上の高齢者は保険料を免除していたところを、
全員が支払うようにしたのがこの制度です。



この後期高齢者医療制度によって、
75歳以上の高齢者とその扶養家族は、
新たに保険料を支払う必要が生まれました。
そして、その保険料は年金から天引きされるようになったのです。
果たして、この制度はうまく続いていくのでしょうか。

後期高齢者医療制度について

2008年4月1日、後期高齢者医療制度が施行されました。
実際、まだ説明が行き届いていない状況で施行されたので、
いまひとつ仕組みを理解できていないという人はかなり多い、
というのが現状ではないでしょうか。



後期高齢者医療制度は、75歳以上の人を対象とした制度です。
なお、この名称は施行日の当日に長寿医療制度と変更されました。
この変更に関しても、あまり良い印象を持っていない、
という人が多いようですが、変更した以上は、
今後もこの長寿医療制度という呼び名でいくのでしょう。



この長寿医療制度後期高齢者医療制度)は、
元々は国の医療制度改革の一環として発案されたものです。
高齢者の医療は、これまで老人保健法という法律のもとで
行われてきており、その法律は高齢者の医療に対して負担を
できるだけ少なくしようというものでした。
その分の負担は国や都道府県、市町村からの負担金や
健康保険などで賄ってきたのです。
しかし、近年社会が高齢化によって高年齢層の人々が増え、
上記の金銭だけでは賄えなくなってきました。
その補填を行う為に、この制度が誕生したという訳です。