保険料を滞納すると

後期高齢者医療制度が施行されてから変わった点の一つに、
保険料滞納者への対応が挙げられます。


この後期高齢者医療制度においては、これまでと違い、
年金からの天引きによって保険料を納めることになるので、
意図的な滞納というものは少ないと見られています。


でも、全体の2割ほどの人は、保険料を現金で納める人たちなので、
保険料を納められない人がいなくなることはありません。


もし、保険料を滞納してしまったときは、
保険証が取り上げられて、代わりに資格証明書が発行されます。


そうなると、一時的に病院などでの支払いは全額負担となるので、
手元にある程度のお金がなければちょっと困ったことになります。


当然といえば当然のことかも知れないのですが、
保険料の滞納者に対してはちょっと厳しくなったと言えます。

高額医療・高額介護合算制度

後期高齢者医療制度によって、
これまでと変わった点というのはいくつもありますが、
そのひとつが、「高額医療・高額介護合算制度」です。


これは、同一世帯における被保険者が、
介護保険後期高齢者医療制度の両方の自己負担がある場合、
その合算額が定められている年間の上限額を超えていたら、
その負担分について軽減するという制度です。


この制度における合算額の上限は、
一般は56万円、現役並み所得者が67万円、
そして低所得者の場合は19万円〜31万円となっています。


この高額医療・高額介護合算制度については、
後期高齢者医療制度のなかでも数少ないいい面のひとつである、
ともいわれているようです。

後期高齢者医療制度は廃止?

後期高齢者医療制度によって、
高齢者が支払う保険料の額は変わりましたが、
医療費については変わっておらず、
一般は1割負担、現役並み所得者は3割負担となっています。


また、65歳から74歳までの人は前期高齢者と呼ばれ、
保険者間で生じた医療費負担の不均衡を調整するため、
制度を創設するとされていました。


そして、70歳から74歳の人については、
医療費の負担を1割から2割にアップするということでしたが、
現在のところは凍結されて1割負担のままになっています。


さらに、民主党政権になってから、
政府は後期高齢者医療制度そのものを廃止する、
という方向で新たな制度のあり方について検討しています。


結局のところ、スタートしてから約3年にもかかわらず、
後期高齢者医療制度は将来的には廃止されて、
新たな高齢者医療制度ができるかも知れないということです。


何年もかけて作ったはずの後期高齢者医療制度というのは、
問題だらけの欠陥制度だったのでしょうか?
これは自民党が悪いのか民主党が悪いのか、
それとも厚生労働省というお役所が悪いのかわかりませんが、
最終的には国民がツケを払わされることになるのでしょうね。

これからの医療制度

少子高齢化と医療費の増大にともなって、
国がその財源を確保するために始めたのが、
後期高齢者医療制度介護保険制度です。


大まかな数字をあげると、
後期高齢者医療制度による保険料が約6000円、
介護保険料は約4000円程度ということで、
合計で毎月1万円程度が新たな負担となっています。


これだけ大きな金額の保険料が徴収されていても、
日本の医療制度には明るい光が見えていないような気がします。


慢性的な医師不足や看護師不足により、
現場の医師や看護師の負担は増すばかりで、
結局続かなくなって辞めてしまうことになり、
さらに人手が足りなくなるといった悪循環に陥っています。


政府も外国から看護師を受け入れようとするなど、
ない知恵を絞ってはいるようですが、
現実には敷居が高くて数えるほどの人数しか採用されていません。


今は、日本の医療全体が大きな曲がり角に立たされています。
これからの医療制度や介護制度はどうするべきか、
またその財源を一体どうするのか、
進むべき正しい道を示してほしいと願うばかりです。

後期高齢者医療制度は必要か

後期高齢者医療制度というのは、
本当に必要なものなのでしょうか。


この制度の目的というのは、
今後ますます増えるであろう医療費を確保することです。


高齢者がどんどん進めば、
かかる医療費も増えることになります。


これをどこから捻出するのかを考えたとき、
少子化による労働力の減少により、
現役世代からは確保できなくなっていくため、
高齢者に保険料の一部を負担してもらおう、
ということになったのです。


では、本当に医療費はまかなうことができるのでしょうか。
何となく不安を感じてしまうのは、
やはり年金の問題があるからです。


年金の問題については、
国はすでに国民の信頼を失っているように思います。
多くの人が、果たして自分は年金をもらえるのだろうか、
という不安を持っています。


けれども、そういった不安に対して、
納得できる説明はきちんとなされたのでしょうか。


このような状況のもとで施行された後期高齢者医療制度は、
目的そのものよりも、その方法や手段に対して、
何か疑問を感じているという人は多いような気がします。

保険料の地域格差

後期高齢者医療制度では、住んでいる都道府県によって、
保険料の額が変わります。
従来は、国が管理していた健康保険によって支払っていたので、
保険料は全国一律でした。


しかし、後期高齢者医療制度により、
保険料は都道府県が運営する後期高齢者医療広域連合に
支払うことになったので、保険料も変わることになりました。


北海道や福岡県では、1人当たりの医療費が高いので、
保険料も平均よりも高くなっています。


また、東京都や大阪府、神奈川県、愛知県など、
高所得者の多いところでは、保険料が高くなっていますが、
東北地方は総じて安くなっているようです。


たとえば、青森県岩手県と、東京都や神奈川では、
ほとんど倍に近いような差があります。
こうした地域による格差についてどうするのかも、
今後の課題となっています。

年金からの天引き

後期高齢者医療制度の制定により、
明らかに高齢者に負担がかかるようになりました。
特に、年金から天引きするという方法については、
強い不快感、不信感を感じてしまいます。


年金から天引きするのは、高齢者の手続きを簡単にするため、
あるいは経費を削減するためと、
もっともらしい理由をつけていますが、
あまり説得力があるとは言えません。


とくに、低所得の高齢者にとっては、
強制的に年金から天引きされることは、
老後の生活を支える年金を奪われるような思いがするでしょう。
今の日本は、弱者はとことんいじめられるようです。


結局、後期高齢者医療制度は廃止されることになるのでしょうが、
一体誰が何のために考え出したのでしょうか。
ただ単に廃止するだけでなく、
おかしな制度を作って世間をかき回した人には、
何らかの責任を取ってもらいたいものです。